プレキャスト・コンクリート住宅、ウベハウスの防水改修工事例です。
新築後20年になり、過去2回の外壁塗装と防水保護塗装(共に他社様で施工)を経て、今回の3回目の外壁塗装と初めての防水改修工事を弊社で行いました。
施工前の屋上ルーフバルコニー防水面。
防水シート表層に入ったひび割れ（クラック）は、ご主人がシーリング材で補修していたそうです。
ＰＣ（プレキャスト・コンクリート）造メーカーのウベハウスは、新築時の標準的な防水仕様としてその多くは加硫系ゴムシート(1.2mm厚)防水で施工され、非歩行用または軽歩行用の用途別に分かれたトップコートで保護されています。
ＰＣ住宅の特長の一つである広いバルコニーは、手すり内側に軽歩行を前提とした硅砂入りのトップコートが塗られているため、見た目にも厚く防水のように見えますが、これはあくまでも防水保護塗装で防水性能があるわけではありません。
施工前の２Ｆバルコニー防水面のひび割れ。
ＰＣスラブ（床パネル）の継ぎ目付近に沿って、規則正しくひび割れが発生しています。
施工前の屋上ルーフバルコニーの外側（ひさし部分）。
手すりの根巻にひび割れが発生し、そこから水が浸み出ているのがわかります。ほとんどの根巻がこのような状態で弱くなっていましたので、今回はこの根巻を一旦壊すことにします。
壊してみると、それぞれの根巻から大量の水が流れ出てきます。手すりの支柱には結構水が溜まっているものです。
防水が完全に終わってから再度根巻を作り直し、手すり支柱には必ず水抜き処理をすることになります。
既存ゴムシート防水のトップコート層にある、ひび割れが出ているところ附近からシートをはがしていきます。
水が廻っているところはもちろん、湿っていたり浮いたりしているところは簡単にはがれますが、しっかりと密着しているところに関しては無理に剥がさずに残しておきます。
画面左は既存ゴムシートを撤去したところです。
シートの下には水勾配をとるためのモルタル層があり、その下がＰＣスラブ（床）板で、その継ぎ目付近とひび割れ部が見事に重なっています。
画面右はひび割れをご主人でシール補修されたあとが残っていますが、その多くはトップコート層の割れのみで、防水層であるシートそのものはそう簡単には割れません。
しかしながら、経年による物性的な劣化が加われば割れてきます。その場合目視できないほどの小さな穴からも、水は入ってしまいます。
今回のＫ様邸の雨漏りの原因はまさしくこれでした。築20年でしたので、露出工法によるゴムシート防水のおおよその寿命であるともいえます。
ひび割れ部のＵカットシーリング。 ひび割れに沿ってＵ字に溝を掘り、シーリング材を充填していきます。
余談ですが、コンクリートの表面に、これほど多くのひび割れがあると心配されるかも知れませんが、前述しましたように、この部分はＰＣ床板の構造躯体ではなく、床板の上に施された水勾配をとるためのモルタル層です。
ＰＣ板は想像以上に強固で、特に圧縮強度の高いウベハウスの構造躯体そのもののひび割れを見ることはほとんどありませんので、ご安心ください。
Ｕカットシーリング後のメッシュ補強。
このあと通気緩衝シートを貼りますので、下地の挙動を緩衝するにはシーリングだけでも十分であるといえますが、その上から更にメッシュ補強をしました。一度雨漏りを経験されるとお客さまは神経質になるものです。
ほんのわずかな手間の有無で、安心感に大きな差異が生じます。表面上見えないところこそ重要であると考える、四葉ホームのさりげないサービス工事です。
樹脂モルタルによる下地調整。これで防水工事をするための準備が整いました。
手すり内側の平場には、通気緩衝シートを貼り（国土交通省Ｘ−１工法）、立上りや庇部についてはガラスクロス併用のウレタン防水による国土交通省Ｘ−２工法で施工します。
アルミ手摺は支柱を浮かしての施工としました。
ウレタン防水材２層目を塗布しているところです。
尚、脱気筒の位置に関しては、バルコニー内の軽歩行利用を前提としているため、水上のできるだけ邪魔にならない場所を選んで設置します。
２Ｆバルコニートップコート塗布及びアルミ手すり根巻の再設置完了。
屋上バルコニートップコート塗布及びアルミ手すり根巻の再設置完了。
ペントハウス（屋上にある塔屋）だけが鉄骨造ＡＬＣ外壁となっています。鉄筋コンクリート外壁と比べると劣化の度合いが著しく、この部分の外壁は板間・建具廻りその他取り合いシーリング共全て撤去・打ち替えをし、脆弱部分を徹底的に下地補強した上で塗装しました。
２階和室天井の雨漏りによるしみのあと。
２階和室 付け柱廻りの雨漏りのあと。
構造躯体がＰＣ（プレキャスト・コンクリート）造であるため、この柱は真壁仕様の単なる飾りの柱です。構造的には何ら問題はありませんが、この中に隠れて見えないＰＣパネルを伝った水が室内にしみ出してきたものです。
水の侵入が少しづつであったり、別の経路を辿った場合はこのように表面に出ることなく、ＰＣ壁板を伝ってＰＣ床板に達し、直下階のＰＣ壁板を伝って、１階での雨漏りの経緯をたどることがあるので要注意です。
１階和室とリビングの間の雨漏り。
この間仕切り部分にはＰＣ板の壁板と垂壁部材が入っていて、上階のＰＣ板の継ぎ目を伝って雨漏りしています。
屋上から入った水が、２階を通り越して１階に出る場合もあることは前述しましたが、このケースでは和室上部のバルコニー立上り面からの雨漏りであると特定できました。
雨漏りによって塗り壁にしみが出来てしまっていたため塗り替えしました。
施工前の外壁。
施工後の外壁。
外壁は弱溶剤二液のシリコン樹脂塗料で塗装しました。
尚、今回の工事では、車両の横に見える和室二間つづきの掃き出し窓と、リビング腰窓２ヶ所の雨戸を電動シャッター雨戸に取り替えました。
これらの取り替えにあたっては、躯体に残ってしまう補修痕を塗装により目立たなくすることが出来ますので、これに類するリフォームをご検討の際は、塗装工事と一緒に行なうことをお勧めします。
＜お客様の声＞
＜四葉ホームより＞
キッチン・洗面所の全面リフォームを施工させていただいてから、早５年が経ちます。
その後も樹脂サッシ（インプラス）の取り付けやその他内装工事等、度々工事のご依頼をいただき本当に感謝しております。
今回は弊社での初めての外壁塗装・防水改修工事とあって、最も得意とする工事範疇です。施工スタッフ一同気合をいれて工事に望みました。今後のアフターメンテナンスも安心してお任せください。
