RC(鉄筋コンクリート造)住宅の外断熱改修工事

近年、「外断熱マンション」や「外張り断熱(木造その他における断熱工法)」等「外断熱」への関心が高まっていますが、オイルショックを契機に欧米で本格的に普及し、標準化が進んだ「外断熱工法」に対して、日本国内では、住宅のほとんどが「内断熱工法」で作られています。

今後わが国でも、省エネ・エコロジーの観点からますます普及するであろう「外断熱」に関し、改修工事(リフォーム)の側面からご紹介します。

1.外断熱リフォーム 施工前

1.八千代市八千代台のU様邸_外断熱改修_施工前.jpg

新築時RC(鉄筋コンクリート造)打ち放し仕上げだったご自宅の外壁を、一度吹き付け塗装された後、今回の外断熱リフォームにいたりました。

お住まいは親世帯から子世帯に移り、外断熱に関しては熱心に研究されていました。工事費用や意匠面その他の検討を重ねた結果、ジョリパットで有名なアイカ工業の湿式外断熱システム「アージュレックス工法を採用しました。

外構に関してもRC構造になっていますが、この部分と破風・軒天は断熱材を貼らずに仕上げのみ同一(ジョリパット)としました。

2.外断熱リフォーム 施工後

2.八千代市八千代台のU様邸_外断熱改修_施工後.jpg

施工後の写真です。一瞥しただけではわからないかも知れませんが、よく見るとサッシが奥まっていてボリューム感が増しています。全景写真では質感等も表現できませんので、後の詳細写真でご確認ください。

3.足場設置〜下地補修

3.足場組み立て中.jpg

足場を組み立てたあと、翌日高圧洗浄を行ないます。尚、この工程に入る前に玄関ドアの取り替えがありましたので、先に完了しています。

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3.下地補修その他.jpg

躯体に欠損・爆裂・クラック(ひび割れ)等がある場合にはその補修を行ない、サッシ廻りのシーリングの劣化が確認できる部位については、撤去・打ち替えまたは打ち増しを事前にしておきます。

外壁に付属している配管設備や器具・フード類については、断熱材の厚みを考慮して事前に嵩上げしておきます。また、サッシ水切りの延長や笠木の新設、その他竪樋の受け金物の取り替え等の準備もこれらの作業と同時に進めておきます。特に給湯器など、後に交換がスムーズにできるよう、その部分の下地作りは特に配慮する必要があります。

4.グラスファイバーメッシュ下地貼り

4.メッシュ下地貼り.jpg

開口部等の養生をしっかりと行なった上で、施工する壁面全体に専用のシーラーを塗布します。次に、予めグラスファイバーに特殊樹脂をコーティングして耐アルカリ性を付与したメッシュを、接着モルタルにて躯体に伏せこませます。

5.断熱材の貼り付け

5.断熱材貼り詳細.jpg

端部・開口部には前の写真のように予め躯体に貼り付けておいたメッシュを、接着モルタルを用いて断熱材小口を覆うように貼り付けて補強します。

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5.断熱材貼り付け作業中.jpg

レベル出しを行なった後、接着モルタルを塗布した断熱ボードをやさしく押えるようにして躯体へ圧着し、隙間や不陸が生じないようにボードの貼り付けをおこないます。出隅部のボードは小口を互い違いに貼り付けていきます。

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5.断熱材貼り付け完了.jpg

断熱材の貼り付け完了です。「アージュレックス工法」で使われる断熱材は、JIS A 9511規定に沿った自己消火性を有する、ビーズ法ポリスチレンフォームとなります。断熱性に優れ、曲げや圧縮強度が高く、さらに透湿性が高いという特徴があります。

6.メッシュ補強と埋め込み定木

6.メッシュ補強と埋め込み定木.jpg

施工マニュアルでは、端部・出隅・開口部廻りにはメッシュ2重貼りが標準となっていますが、それに加えベースコートで樹脂製の定木(左官で使用するコーナー部材)を埋め込むことで更に強化され、外観上も直線がシャープで整った印象に仕上がります。

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6.開口部廻りメッシュ貼り.jpg

開口部廻りにはメッシュを重ね合わせて補強します。また、躯体と断熱材の間に雨水が浸入しないように、端部・入隅・開口部廻りにはシーリング処理をします。水切り・笠木・配管類や他部材との取り合い部にも同様にシール処理しておきます。

7.ベースコート及びメッシュ貼り付け

7.ベースコート及びメッシュ貼り付け.jpg

壁面に貼られた断熱ボードの上にベースコートを2mm程度の厚さでコテ塗りし、表面が乾燥しないうちにメッシュをコテで軽く押込み貼りします。しばらくしてからベースコートを再度シゴキ塗りすることで平滑に仕上がります。

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7.パラペットに笠木取り付け.jpg

パラペットはヒートブリッジ(熱橋)対策として、壁の両側を断熱材で挟み込むため厚みが増しますが、それを包むように笠木を取り付けます。他にも壁厚が増すことに伴い、水切りの延長等の雨仕舞いの検討が必要になります。

断熱材の厚さの検討にあたっては、「次世代省エネ基準」のⅣ地域に適合するボード厚40mmを参考とし、今回はそれを上回る50mm厚としました。仕上げを含めると既存の躯体より65mm前後厚さが増すことになります。

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7.ベースコート完成とシーラー塗布.jpg

ベースコート塗り及びメッシュ貼り付けが完了しました。ベースコート表面に傷や不陸がないか検査します。十分に乾燥させた上で、塗装仕上げを行なう面全体に、塗り残しのないよう専用シーラーを塗布します。

8.ジョリパット仕上げ(下塗り)

8.ジョリパット仕上げ(下塗り):全景.jpg

養生をしっかり行なった上で、ジョリパットの1回目を吹き付けにより塗布しました。断熱ボードが入っている建物本体のほか、断熱ボードを入れていない外構部にも、同様の質感にするため仕上げを統一しました。

8.ジョリパット仕上げ(下塗り):玄関廻り.jpg

玄関廻りの様子です。ジョリパットは使用する用途によってシリーズ化されており、今回はJQ−650を使用。「耐候性」や「防藻・防カビ性」に優れ、硬さと柔らかさという相反する性能を有する「可とう性」により、下地のひび割れに追従し耐久性を高めています。

9.ジョリパット仕上げ(上塗り)

ジョリパットはアートの国フランスで生まれ、日本の建築シーンで磨かれた装飾性塗材です。伝統的な技法をアレンジして、現在のニーズに合わせた塗り壁ならではのテクスチャーが表現できます。

9.ジョリパット仕上げ(上塗り):完了.jpg

上塗りをコテで仕上げる場合、装飾性の高いテクスチャーとなるため、統一感を持たせるため1人の職人の手により全体を仕上げました。尚、この模様はオリジナルのもので、仕上げ前に外構の塀でいろいろと試してみて、Uさまご夫妻に気に入っていただいたものです。

10.勝手口廻りの施工前と施工後

10.施工前の勝手口廻り.jpg

施工前の勝手口廻り。

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10.施工後の勝手口廻り.jpg

施工後の勝手口廻り。

外壁面に付属する照明器具やフード・配管類は劣化の程度により、取り替えまたは塗装により仕上げます。また、給湯器等取り替えが将来想定できるものについては下地を作っておきました。

11.施工後のポーチ前坪庭

11.施工後のポーチ前坪庭.jpg

ガラス越しに建物内部のRC打ち放しの壁が見えていますが、コンクリート躯体の外側を断熱材で包んだ外断熱された家の中では、洗面・浴室・トイレ等の温度差が生じやすい場所でも室温が比較的安定します。RC外断熱にはコンクリートのもつ蓄熱性を最大限に利用できるという点で、外張り断熱とは異なった特長があります。

12.施工後の玄関廻り

12.施工後の玄関廻り.jpg

築20年近い建物でしたが、開口部(サッシ)は新築時より玄関戸を除き全て複層ガラス(ペアガラス)仕様となっていました。今回の外断熱リフォームに際しては、Uさまも玄関戸の取り替えを希望されていました。断熱ドアでありながら採風できるタイプの玄関ドア(以前はこんないい物はなかった)を選択しました。特に夏場は上下に開くドアの下部から涼しい風を取り入れ、内部の大きな吹き抜けを通って2階の窓から熱気を逃がしてやる構図です。冬はもちろん断熱に大きく寄与してくれるはずです。

13.南面施工前と施工後

13.施工前(南面).jpg

施工前(南面)

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13.施工後(南面).jpg

施工後(南面)

南面サッシの外側上部にステンレス製のフックを埋め込んでおきました。夏場の暑さ対策に、すだれ等をかけるためです。施工の翌年夏、早速すだれがかけられていて、想像以上の効果に驚きました。ここでも建物(サッシ)の外側で熱を遮断することが、いかに効果的であるかを体感しました。

14.ルーフバルコニーの施工前と施工後

14.バルコニー床_施工前.jpg

ルーフバルコニー施工前。

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14.バルコニー床ユニットタイル.jpg

ルーフバルコニー施工後。

バルコニーの防水工事も今回の工事範囲に入っていましたので、ここにも断熱防水か断熱ブロックでの外断熱を検討したいところだったのですが、掃き出しサッシの立ち上りがほとんどなく、フラットに近い状態でそれは現実的には無理でした。したがって、通常の防水を行なった上で少しでも直射熱を遮るために、磁器タイルが貼られたユニット(下に空気層ができる)を使用することにしました。

15.足場外しを除き完成(全景)

15.足場外しを除き完成(全景).jpg

今回のように外壁塗装等を行なう予定の時期に、外断熱にしてみるのもよい選択だと思います。外断熱にすることで省エネ・エコリフォームとなるだけでなく、外側を断熱材で保護することにより、RC躯体にありがちなひび割れ等からの、構造的な劣化につながる危険性を抑制する効果もあります。

16.吹き抜け上部トップライト廻りの熱橋対策

内装工事も同時に行ないましたので、一部に内断熱を施しました。建物内部は1・2階共天井高が3m以上あり、玄関ホールから階段にかけて大きな吹き抜けがあり、その上部にトップライトがあります。天井部分の作業用として、内部にも部分足場を設けての工事となりました。ここでのポイントは熱橋(ヒートブリッジ)対策です。

16.施工前の2F吹き抜け上部トップライト廻り.jpg

施工前のトップライト廻りです。内部はRC(鉄筋コンクリート)の打ち放し仕上げです。屋根はトップライト周辺部のみ切り欠いてフラット屋根になっていて、このフラット部分にも防水を施したものの、複雑な形状のためルーフバルコニー同様断熱仕様にはできませんでした。

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16.熱橋対策:内断熱施工中.jpg

内断熱の施工中です。熱橋(外部の熱が伝わりやすい部分)対策として建物内部の天井・梁部分の内断熱を施しました。ここで使用する断熱材は外部のそれとは少し用途が異なり、押出法ポリスチレンフォームとします。

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16.トップライト廻り施工中.jpg

内装ボードを張り、トップライトを支える鉄部には若干サビが出ていましたので、錆止めをしたあと塗装で仕上げました。鉄部との見切りには同色の廻り縁を取り付け、違和感をなくしました。

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16.トップライト廻り内装仕上げとエアコン取り付け完了.jpg

トップライト廻りの熱橋対策を含む内装工事の完了です。

尚、家全体が断熱材で包まれましたので、各居室につながる共用部でもある吹き抜けを利用して、熱効率も考えました。リビングを含む各居室のドアは全て引き戸であることもあり、この吹き抜け共用部の1・2階にそれぞれエアコンを新たに設置しました。

夏場の冷風は2階のエアコンから下階に流れ(風のあるときは1Fの採風玄関ドアから涼しい風を採り入れます)、冬場の暖房は1階のエアコンから上の階へ上昇させる仕組みです。

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