
3階建て総タイル張り賃貸マンションの外壁・防水改修工事です。 一見したところ、RC壁式構造かと思いました。ところがよく見ると、鉄骨造に45二丁タイルを張った賃貸物件です。

施工前の建物外観。築後16年が経過し、45二丁の磁器タイルにも汚れが目立ちます。また、タイル張りの建物によくありがちな、目地シーリングの劣化が気になります。


施工後の建物外観。外壁タイル面は全面バイオを使って手作業で洗浄しましたので、見違えるようにキレイになりました。


施工前。目地シーリングの劣化(詳細)。外壁面の目地が塗装により保護されている場合には、ここまで劣化することはありません。シーリングが露出している場合には特に注意が必要です。


階段室内部の様子。エントランスから階段室にかけて、内部にも45二丁のタイルを張ってあります。当然サッシ・玄関戸廻りや板間目地、その他の取り合い部にもシーリングが施されていますが、こちらは紫外線の影響をほとんど受けないためか、露出されたシーリングでも傷みはほとんどありません。まだしばらくは手を入れなくても大丈夫です。


使用するシーリング材です。今回の外部目地シーリングは全て撤去・打ち替えになりますので、ハマタイトの2成分形ポリサルファイドとしました。


施工前の斜壁部分の状況。タイルやタイル目地にクラック(ひび割れ)が多数見られます。


ひび割れ部分を拡大したところです。大きく割れています。


斜壁部側面のモルタル目地の割れです。


タイル目地のひび割れです。事前の現場調査の段階において、確認できる範囲である程度の予測をしておきますが、足場が組み終わったら、タイル面の浮きや剥離等の程度をさらに詳細に見ていきます。今回も想定の範囲内でした。浮きが若干あるものの、タイルの張り替えやピンニングの必要性まではないと判断し、予定通りの補修方法をとります。


バイオ洗浄をしているところです。このあとひび割れ補修に入ります。


洗浄後の様子。


ひび割れ部にマーキングしたあと、その部位に養生テープを貼ります。


今回の補修方法は手動式のエポキシ樹脂注入です。写真は目止めをしているところです。


養生テープをはがしていきます。今回は樹脂注入のための注入口としてドリルによる穴あけをせず(ノーカット工法)に、写真のように細く養生した部分をはがしたところが注入口になります。今回の樹脂注入の目的は浮き部の補修ではなく、ひび割れ破断面の接着にありますので、次の写真のようにテーパーノズルにクラック用ゴムチップを取り付けて、壁面に押し付けながら注入します。


エポキシ樹脂をグリスガン(グリスポンプ)で注入していきます。


エポキシ樹脂の注入で接着一体化することにより、タイルの落下による危険性を排除することができます。


斜壁部分に数多くあったひび割れ部の樹脂注入作業の完了です。


次の防水塗装をする前に、劣化によりやせていたタイル目地の、目地入れをしておきます。


最後に透明アクリル樹脂を塗って仕上げます。


透明樹脂塗装を施工したところと、していないところの比較。塗ったすぐは少し白っぽいですが、乾くと透明になっていきます。少し離れるとほとんどわからなくなりますので、塗ったことによるタイル面の意匠性を損なわずに雨水の浸入を防いでくれます。


道路斜線や北側斜線など建築基準法上の斜線制限を受けて、建物最上階の外壁を斜めにカットしている建物も多いと思います。この斜壁部分は雨の影響を受けやすいため、改修工事の際には後々のためにも、防水性を付与させておいたほうがよいと思われます。


次は防水工事です。既存防水は防水層を保護する工法がとられています。押え層に水分が多く含まれているため、防水改修の工法としてはウレタン防水 国土交通省X−1としました。高圧洗浄後、伸縮目地を全て撤去したあとに、プライマー及びシーリング作業を終えたところです。


伸縮目地交差部詳細。目地にそって両面ブチルテープを貼り付けたあと、テープ中央部にカッターで切れ目を入れているところです。


田島ルーフィングのメジパスと呼ばれる、「目地通気システム」用に特殊表面処理加工されたアルミ板を貼り付けたところです。目地を通気路にして押え層に含まれた水分を、この目地交差部に設置される脱気筒により排出し、新規防水層のふくれを抑制します。


メジパスの貼り付け完了。


樹脂モルタル塗布完了。ここまでが下地処理です。


通気緩衝シート貼り施工中。


平場に貼られた通気緩衝シートの上に、ウレタン防水材1層目を塗布しているところです。


平場ウレタン防水材2層目を塗布しているところです。


トップコート(遮熱トップ)塗布完了。
<お客様の声>

<四葉ホームより>
アパート・マンション・テナントビルを多数所有されているO様、今までの長年お付き合いのある工事業者さんから弊社にしていただきまして、本当にありがとうございます。これからもO様の大切な資産である建物をしっかり守っていけるよう、また、ご期待に応えられるようスタッフ一同精一杯がんばりますのでよろしくお願いいたします。
参考までに最初のアパート改修工事の施工前と施工後もご紹介します。

外壁の色を思い切って変えてみたら入居率も上がったそうです。サイディング目地のシーリングを撤去・打替し、基礎のクラックや屋根にも手を入れ、出来るだけ長く持たせるようにしてあります。