前回の塗り替え時に弾性塗料が使われていたのは、おそらく浮きやひび割れの兆候が見られたものの、塗膜性能でカバーしようと試みたものと推察できます。
前回の改修工事ではそれでも良かったのかも知れませんが、今回は無理です。きちんと補修すべきです。
天端の浮き部分にマーキングしたあと、ドリルで穴をあけていきます。
完全に剥離している部分(塗膜で辛うじてくっ付いているところ)や脆弱部分は撤去していきます。
ひび割れについては、ダイヤモンドカッターでU字に掘っていきます。
プライマーを塗布後、シーリング材を充填。
樹脂注入のためにドリルで開けた穴の粉塵を除去します。
エポキシ樹脂注入。
バルコニー内側から見た手すりです。上から注入した樹脂が、下のひび割れ部分から出てくるのを確認します。横一直線に入ったひび割れを境にして、上部の笠木モルタル層と下部のコンクリート躯体を、エポキシ樹脂とステンレス全ネジピンにより強固に接着させます。
手すり上方から外側にかけて見たところです。手すりの外側にあるひび割れからも、エポキシ樹脂が出ているのが確認できます。
ステンレス全ネジピンの挿入。
アンカーピンの挿入後、軽量エポキシ樹脂モルタルで穴をふさいでいるところです。
手すりの天端を樹脂モルタルにより、平滑に処理していきます。
天端の平滑処理が終わったら、下地調整として再度樹脂モルタルを塗布していきます。名称は同じ樹脂モルタルでも、樹脂の成分及び砂の大きさや硬さの異なる材料を、用途によって使い分ける必要があります。
樹脂モルタル塗布により、手すり天端附近の下地調整まで完了しました。ここまででも、ある程度の防水性能を有していますが、更に塗装仕上げ(厚付けのフィーラー及びシリコン樹脂塗料)を予定していますので、今度は大丈夫です。手すりの天端は雨の影響を受けやすいので、場合によっては、この上にアルミ笠木の新設もお勧めします。
4階のオーナー様住戸から屋上へ上がる外部階段については、今回の施工範囲に入っていませんでしたが、手すりの内側に関してはサービスで塗装することになっていましたので、ここの浮き部分にもピンニング補修をしておきます。
今回使用した材料です。材料は適材適所に使い分けます。ここでは詳しくご紹介しきれませんので、別の施工例で掲載したいと思います。