
鉄筋コンクリート住宅(大成パルコン)の、屋上(陸屋根)に設置された太陽光発電システムの、移設を伴う外壁防水リフォームの工事例です。

施工前。
屋上設置の太陽光パネルが地震や台風等によって、損壊してしまうことをお施主様ご自身が心配されていましたが、現場調査で屋上に上がってみたところ、おっしゃる通り確かに、その設置方法に疑問を持たざるを得ませんでした。今回の外壁防水リフォームを機に、今ある条件下で最適な太陽光の移設を考えました。
太陽光架台の基礎は、コンクリート躯体に直接固定されておらず断熱ブロックの上に置かれ、PCパラペット天端に打ち込まれた金具と架台の四隅をワイヤー接続されているだけでした。しかも、太陽光パネルを真南に向けているため、ワイヤーの間隔がそれぞれ不均等となり緩みが生じてしまっています。
尚、陸屋根に太陽光発電システムを設置する例は少なくないと思いますが、突風や引抜荷重等を考慮するならば、パネルの設置角度は発電効率が多少ダウンしてでも、安全上もう少しフラットにした方がよいと思います。


施工後。
太陽光架台の基礎はPC床板にケミカルアンカーで固定し、現場打ちの鉄筋コンクリート基礎としました。
また、太陽光パネルの向きは真南ではなくなるので若干発電効率は落ちますが、躯体基礎通りと平行にする等、メーカー(大成パルコン)さんの技術の方のご協力をいただき、ベストな位置決めを模索しました。


今回は防水が主たる目的工事であるため、防水層の上に敷き込まれている断熱ブロックは一旦撤去する必要があります。屋上及び2Fバルコニーに敷設された断熱ブロックは全て下まで降ろし、庭の片隅にまとめておきました。


断熱ブロック撤去後のモルタル団子が無数にあります。今回のモルタル団子は接着剤が効いていて、なかなか取れず苦心しました。
ウレタン防水層の上に接着されていますので、慎重な撤去作業が求められますが、どうしても取れずに破断した場合には、その部位に仮防水をしっかりと施工しておきます。


太陽光架台の基礎を新設します。断熱ブロックの厚み(65mm+モルタル団子)を考慮した高さとし、基礎自体も少し大きくしています。
コンクリートの床板に穴をあけて大丈夫かと、不安に思われるかも知れませんが、ご安心ください。この後メッシュ補強したウレタン防水で巻き込み一体化させます。前述のケミカルアンカー固定に加え、この防水巻き込みで引張強度は更に増すことが期待できます。


ウレタン防水(国土交通省X−2工法)施工完了。架台基礎までガラスクロス補強と共にウレタン防水で巻き込んでいます。


保管してあった断熱ブロックを再利用して設置します。架台基礎との取り合いは写真の通りです。断熱ブロックの一部を切断加工して隙間がないようにします。
これで基礎の高さのバランスもいいと思います。断熱ブロックの敷設が完了すれば、この基礎が断熱ブロックの上に置かれているように見えます。


太陽光パネルの移設と防水リフォームが完了しました。
この後、架台鉄部を塗装します。ケレンし錆止めを入れたあと、弱溶剤のシリコン塗装で仕上げました。
また、当初に取り付けてあった四隅のワイヤーも念のため取り付けましたが、今度は平行になっているため、緩みはほとんど出ないと思います。


2Fバルコニー断熱ブロック撤去後の状況。


外壁PC躯体板間・建具廻りの目地シーリング撤去・打ち替え完了。


2Fバルコニー ウレタン防水(国土交通省X−2工法)施工完了。


2Fバルコニー 断熱ブロック敷き詰め完了。


施工前の外観。


施工後の外観。
外壁は既存の目地シーリングを全て撤去・打ち替え後、断熱・遮熱塗料のガイナを4回塗りで仕上げました。
基礎に関しては構造クラックが数ヶ所見られ、エポキシ樹脂の低圧注入で補修及び下地調整後、色違いでガイナを外壁同様4回塗りの塗装仕上げとしました。